様々な法律で規制が設けてある!危険物保管庫を初心者にも分かりやすく解説

街中や湾岸地域でも目にできる物流倉庫は、あらゆるモノを保管・貯蔵をする施設です。
ここから各地に運ばれて活用をされますが、なかには危険物を取扱うケースもあります。
その際は危険物保管庫という場所で徹底した管理下に置かれますが、この倉庫は通常の施設と違ってさまざまな規制を法律で設けているのが基本です。
これから業務にあたるという方もおおいでしょうが、ここで初心者でもわかりやすい解説をおこなっていきましょう。
様々な法律で規制が設けてある!危険物保管庫を初心者にも分かりやすく解説
危険物保管庫には法律が適用をされており、細かい区分の規制を設けています。
危険物保管庫を所有した際は必ず監督官を在籍されて、毎日業務日誌を記録しないといけません。
危険物とひとことにいってもさまざまなものがあり、そのモノに見合った設備も必要です。
シンナーやアルコールの場合は可燃性物質となるので、消火設備を用意しないといけません。
防火シャッターに消火器のほか、スプリンクラーを法律に見合った個数で設置をしましょう。
そもそも危険物保管庫とは?法律で危険物に指定された物質の保管施設の総称
そもそも危険物保管庫とは何かと言えば、法律で危険物に指定された物質の保管施設のことです。
それは当たり前でわざわざ説明してもらうまでもないと感じる人が大半のはずですが、では危険物保管庫に保管される危険物とは何でしょう。
先に書いたように感じた人であっても、この点で誤解している人はいくらでもいます。
日常的に危険な物質や物品といった場合、もし誤って人体に浴びてしまったり間違って飲み込んだりすると命に関わることもあるものと思う人は多いでしょう。
あるいは、誤って外部に漏れたり飛散したりすると環境に深刻な影響を及ぼすものと思う人もいるはずです。
前者では例えば塩酸や青酸カリなどが思い浮かびますし、後者の例では放射性物質があったりします。
ですがここで言う危険物とはそういうものではなく、火災とか爆発などの危険性がある物品とされています。
つまり、ガソリンとか灯油・アルコールなどがその代表的なものになるわけです。
危険物保管庫に定めが行われている法律には何がある?
危険物保管庫は、都市計画法や建築基準法、消防法や港湾法など設計に関する届出や法令が定められています。
港湾法は海沿い地域で危険物保管庫を建設する際に関与する法律になるのですが、臨港地区および臨港地区内の土地利用に関する区分です。
このような地域は建築基準法の用途地域の規定が適用されないため、港湾法に基づいた市区町村の条例で臨港地区内の区分および建設可能にする建築物の用途の指定が行われているといいます。
建築基準法の場合は、危険物の製造および貯蔵量などを用途地域で規制を行っていて、規制がない用途地域は少なくて工業地域と工業専用地域は規制が設けられていないなどの特徴があります。
なお、危険物保管庫の建設で最も重視される法律が消防法です。
危険物の定義が行われていることや危険物保管庫の規模や設置場所などの位置、建物構造など細かな基準が消防法の中で規定が行われていて、これに準拠する形で設計を行うことや消防との協議も欠かせません。
危険物保管庫を建設するためには消防との細かな協議が必要
住んでいる地域の中に危険物保管庫が建設される、このような話題を耳にすると誰もが爆発や悪臭などのような不安を感じるのではないでしょうか。
最も住宅地の中心部分などに設置されることはありませんし、住んでいる人々が危険な状態になることはないので安心です。
この安心を与えてくれるのが危険物保管庫を規制する建築基準法や消防法などの法律で、危険物保管庫を作るときにはこれらの法律に準拠することが前提条件になります。
消防法は、危険物を定義して指定数量以上の危険物の貯蔵や取り扱いの制限を設けている法律です。
ただし、指定数量未満の危険物の貯蔵や取り扱いについては火災予防条例などのような市区町村の条例の中で制限が行われているようです。
なお、危険物保管庫の建設では消防と詳細レベルでの協議を行うことが義務付けられているのですが、これは消防による計画上での審査に相当するもので、専門的な知識も必要になるので専門家への相談をされるケースは多いといいます。
危険物保管庫に保管する物質の中には災害に繋がる危険性を持つものも
危険物保管庫に保管する物質の中には、災害に繋がる危険性を持つものもあります。
もちろん被害の程度は保管量とかその他の状況にもよるでしょうが、危険物保管庫で取り扱われる物は、基本的に全て火災とか爆発のリスクを有しているものばかりです。
その代表的なものはガソリン・石油・灯油・アルコールのような可燃性の液体物です。
これらは火気があると発火しやすいですし、状況によっては爆発的に燃焼することもあり非常に危険なことは言うまでもありません。
また、それほど一般的ではありませんが爆薬にも使われることのあるニトロ化合物などは、分子内に酸素を持っておりいったん火がついて反応が進み始めると、空気中の酸素がなくても勝手に反応してしまうものがあります。
これでは当然消火活動も困難で、より大きな被害を及ぼす可能性があるわけです。
このように、大きな災害に繋がる危険性を持つものもありますので、保管や管理には十分に気を付けなければなりません。
危険物保管庫以外の普通の倉庫でも条件付きで危険物の保管は可能
危険物に指定されている物品は、基本的には危険物保管庫と呼ばれる所定の基準を満たした施設で保管管理しなければならない決まりになっています。
ですが、100%どのような場合でも危険物保管庫に置かなければならないと決められているわけではなく、普通の倉庫でも可能なケースはあります。
ここでいう危険物とは発火とか爆発の可能性のある物品を指しており、代表的なものにガソリンとか灯油があげられます。
さて、一般の家庭であっても冬季の暖房用に灯油を保管している人はいくらでもいます。
屋内ではないかもしれませんが、自家用車を持っている人であればクルマの燃料タンクにはガソリンが入っているはずで、いずれも所定の基準など満たしていないというか、そのような基準が存在することすら意識していない人がほとんどでしょう。
これは別に違反ではなく、量が少ない場合には認められているのです。
家庭内であってもそうなのですから、倉庫にも当てはまります。
危険物保管庫の建設には色々な法律や制限があるので実績を持つ建設会社に相談することが大切
危険物保管庫は、床面積が1,000㎡以下で軒高さが6メートル未満の平屋、このような規模に関する基準が設けてあります。
規模はそれ程難しい課題ではないのですが、これに構造も配慮しなければならない、設置位置についての基準も加味するなど様々な規制を考えて建設する必要性がありますので、一般的な会社では危険物保管庫を建てることが難しいケースもあるわけです。
建設においては所轄の消防との協議が必要で、各種申請手続きなども行う必要があります。
消防との協議の中ではこれから建設する施設が基準を満たしているものであるのか、厳しい審査が行われるので協議で修正が必要になることも少なくありません。
しかし、危険物保管庫の建設実績を多く持つ建設会社に依頼することで、基準を満たし必要な設備(消火器や避雷設備など)を計画の中に取り入れることができます。
また、経験豊富な建設会社の場合は、書類の作成や申請手続きなどの代行も行ってくれます。
専門的で複雑な法令を理解しなければ危険物保管庫を建設することはできない
危険物保管庫は、文字通り危険物を保管するための施設や設備の総称です。
建物場合もありますし屋内外で利用可能にするコンパクトサイズの保管も含まれます。
危険物保管庫の建設においては、様々な法令を理解しなければ作ることは困難です。
施設の完成後に検査を受けたときに基準を満たしていない、このようなトラブルが起きればその施設は改善したり作り直しなどが発生するかもしれません。
もっとも、建設前に所定機関に対しそれが基準を満たしているのか否かの審査を受けることになるので建設し直すなどのケースはないのですが、何度も手続きをしなければならないと運用までの期間が長くなり業務に支障をきたすこともあるわけです。
なお、危険物保管庫は位置・規模・構造などそれぞれの基準が設けてありますので、これらの基本的な理解が必要不可欠です。
例えば、位置に関する基準の場合は近隣に学校や病院な度がある場合は保安距離を確保するなどの決まりが存在します。
危険物保管庫に保管できる危険物の種類とは?
危険物保管庫に保管できる危険物の種類ですが、これは消防法によって定められています。
消防ということからも想像できるとおり、これらは全て火災とか爆発の危険性がある物で、その意味では一般的な話で言われるような何か危険な物質とは範囲が違うというか、狭いと言えます。
一般的には例えば人が摂取すると死亡に至るかもしれない青酸カリのような毒物とか、間違って外部に放出されると地球環境に悪影響を及ぼすフロンガスのようなものも含めて、危険物と認識されることが多いかもしれませんが、危険物保管庫に関して言えばそうではないわけです。
青酸カリもフロンガスも、別に火災や爆発を引き起こすわけではありません。
火災や爆発を起こす可能性のある代表的な危険物は、ガソリンとか灯油・アルコールのような有機物でできた可燃性の液体があげられます。
このほか、それ自身は燃えたりすることがなくても、他の物と反応して発火させたりするような物質もここに含まれています。
知らないと法律違反を犯してしまうこともある危険物保管庫
危険物保管庫を建設する際には、消防との協議を行い消防署が承認を行うことで建設許可となり工事を始めることができます。
この協議は専門性が非常に高い話し合いや手続きとなるので、危険物保管庫の事を熟知している担当者がいなければ手続きそのものへのハードルが高くなる、書類の不備や知識不足などで書き直しや再提出といった手間を強いられるケースも少なくありません。
また、危険物保管庫の建設では様々な法令でありそれぞれに制約が設けてあること、取り扱いの危険物に合わせて提出書類が異なっていたり監督官庁が違うなど非常に煩雑で正確に把握していないと知らない間に法律違反になっているケースも決してゼロとはいい切れません。
法律違反になってしまえば危険物を保管することができないだけでなく、行政指導を受けることもあるでしょうし危険物を保管するのに適した改善などでコストが余計にかかることもあるため、危険物を保管庫を建設する際には専門家への相談が最適です。